新型コロナウイルス感染拡大を受け第1回目の緊急事態宣言が発令され東京ではタクシーの需要が極端に減り私たちタクシー運転手の給料は激減してしまいました。今のところ支援を受けたり貯金を切り崩したりして夏ごろに収束すれば以前のようにタクシーにもお客さまが戻ってくると楽観視してませんか?
勿論、私自身そうなって欲しいと未だタクシー会社に身を置いていますがこの先のことは全くわかりません。どうやらやって来るらしい戦後最大の経済危機をタクシー運転手という職業で乗り切れるのでしょうか?
contents
コロナ倒産ラッシュで失業者が急増する
私たちタクシー会社の他にも旅行会社やバス会社、旅館やホテル、おみやげ物屋、学習塾、飲食店、ナイトクラブ。今は製造業と建設業界にまで暗雲が漂い始めています。コロナによる倒産ラッシュは今後確実にやって来ます。今回の場合、怖いのは客足が戻らない可能性があることです。人が集まる、移動するを前提にしたビジネスモデルはコロナが収束したとしてもが客足が以前のようには戻らないといった職業が必ず出てきます。だったら今のうち辞めたほうが良いよねってことで倒産する企業が更に増え、失業者で溢れかえることが予想されます。
失業者が増えるとタクシー運転手は増える傾向にあります。現に4月のタクシー運転手としては最悪な状況の今でさえタクシー就職希望者が出始めていると情報があります。今のとこを受け入れを拒否するタクシー事業者が多いようですが(新たに雇用できる状況ではない為)今後は更にタクシー運転手が増えることも予想されるのです。
いつまで続くのか先が見えない
専門家の間でも意見が分かれています。当初の1ヶ月もすれば収束という楽観論は聞かれなくなりました。京都大学iPS細胞研究所(CiRA)の山中教授は自らのサイトで長いマラソンと例え、またハーバード大学の研究者の予測では2022年までは外出自粛が必要とされています。「外出自粛、22年まで必要」 米ハーバード大が予測
タクシー運転手としてこんな状態が1年も続いたら「とてもじゃないけどやって行けない」と感じている方は少なくないように思います。
本日、原油先物取引において事実上買い手がつかないマイナスに落ち込みました。通常お金を払って原油を買いますが、お金をあげるから原油を引き取ってねという異常事態です。世界的経済活動停滞による下落で株安や経済の混乱が懸念され、今後は実体経済にも深刻な影響を与えかねません。まさに現在は出口の見えないトンネルの入り口に過ぎないのかもしれません。
コロナが収束しても客足が戻るとは限らない
これは私が強く感じていることで例えコロナが収束したところで以前と同じ売上げレベルまでの回復は厳しいのではないでしょうか?リモートワークが当たり前になり今後は通勤通学のない社会に向かいます。リモートワークに慣れた人間がまた満員電車やタクシーに乗って通勤するでしょうか?
夜の居酒屋にしてもコロナの影響で宅飲みそれもオンラインで飲み会するなんて方が増えてきました。趣味や興味が合う人同士が家に居ながらリモート飲み会をするようになりました。コロナが収束しても煩わしい上司のお付き合いを自腹でするよりもオンライン飲み会のほうが安くて楽しいよねって知ってしまった人は居酒屋には戻りません。
仕事帰りに居酒屋で一杯という文化は残るにしても相当数減ってしまうのではないでしょうか?
緊急事態宣言が解除されれると一部の人たちは祭りのように飲み歩き一旦は活気を取り戻したように見えるかもしれません。
しかしです。リモートワークが進むなか、
- 企業が接待で銀座のクラブを使う。
- 企業がタクシーチケットを配る。
- 会社の通勤でタクシーを使う。
- 新年会、忘年会シーズンはタクシーが捕まらない。
こうした今までタクシーを支えていた文化は確実に減っていき、今後は人が移動しない社会に向かいます。更にはこれをきっかけにリスクの少ない自動運転開発が進みます。タクシーの総数が極端に減らない限り2019年までの売上げ水準に回復することは極めて困難と考えられます。
他のタクシー会社への転職は難しい
現在タクシー業界は新たに雇用を考えている余裕はないです。ネットで検索すると乗務員募集の記事が残っていますが過去の募集です。50万円稼げますなんてことは現在は不可能になってます。
経験者でも会社間移動は出来ません。全てではないですがいくつかのタクシー事業者さんに問い合わせたところ現在では経験者の募集もしていないとのことです。
「タクシー会社ならいつでも戻れる」とお考えの方は注意が必要です。
タクシーで食品配送可能【特例措置】
本日のニュースで実際どうなるのかわかりませんが少し明るい情報もあります。
新型コロナウイルスの感染拡大でタクシーの利用者が減少していることなどを受け、国土交通省はタクシーで食料品などの配送を認める特例の措置を始めることになりました。
国土交通省によりますと、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、タクシー会社などでは利用者が減少して経営が厳しくなる一方、飲食店では食料品や飲み物の宅配の需要が高まっているということです。
これを受けて、国土交通省は、道路運送法に基づく特例の措置として、許可を出したタクシー会社や個人タクシーに対し、食料品などの配送を認めることにしたということです。
この特例は来月13日まで実施することにしていて、21日から申請を受け付け、2日程度で許可を出すことにしているということです。
料金などについては、タクシー会社と飲食店などが個別に交渉して契約し、そのうえで配送業務が始められます。
全国およそ5500のタクシー会社で作る全国ハイヤー・タクシー連合会は「新型コロナウイルスの影響でタクシーの営業収入が非常に落ち込んでいる中で、少しでも仕事が増えることはとても助かります」としています。
@MLIT_JAPAN
ナイスアイデア👍😉
たまには…😎
もっと言うなら
一人暮らしのおばあちゃんおじいちゃんの買い物代行とかしてくれると便利ですね🌸
タクシー会社に電話して
『あそこのスーパーで○○買って来て』って依頼すれば買って届けてくれるとか
国交省さんどうでしょう?— ruby (@ruby19teardrops) April 21, 2020
タクシーで食品配送が可能に!
先日、つばめタクシーが買い物や薬の受け取りの代行サービスを開始しましたが
どちらのサービスも
お客様を乗せないので感染のリスクも低く、良いと思います— Cute_is_justice (@Cuteisjustice4) April 21, 2020
ストックデールの逆説
最後にストックデールの逆説というのをご紹介します。今がどんなに辛くても明るい未来を信じる事。それでいて誤った楽観主義にしがみついてはいけないという教えです。
去年までのようにタクシー運転手として生活したい。しかしそれには年末まで時間がかかるかもしれないし来年になるかもしれない。いやいや、緊急事態宣言も複数回発令され2年先かもしれないし5年先になってしまうかもしれません。7月にはきっと収束するだろう、お客さまもすぐに戻ってくるに違いない。そんな楽観を捨て、最悪な事態を想定し自分を鼓舞しながら1日1日前へ進んでゆく気持ちが必要です。
タクシー運転手を辞めて他の道で生きるのも大変ですが信じて進むことは更に大変なことかもしれません。
[ストックデールの逆説]詳しくは7年の拷問を耐えた男性が語る、メンタルを強く持ち今を生き抜く「ストックデールの逆説とは」